動物児童公園 | 公園探訪PREMIUM

「動物」児童公園という名は、あまりに率直で、
あまりに奇妙で、そしてどこまでも潔い。
地名の記憶も、由緒の香りも棚に上げ、
ただ堂々と“動物”の旗を掲げてしまったのだから、
これはもう公園というより、
街角にぽっかり開いた寓話世界の入口である。

中心にそびえるのは、
山型遊具という名の小さな巨塔。
滑り台の顔をしながら
丘の威厳をまとい、砦のような影を落とす。
ここへ足を踏み入れた子どもたちの空想は、
この奇妙な山の存在感にあてられて、
たちまち日常からふわりと浮遊してしまう。

そして、その山の周囲を固めるのが
名を体現する動物たちだ。
腰を落ちつけて世相を見つめるような者、
どこかとぼけた顔でこちらを値踏みする者、
まるで古い住民のように風景に溶け込み、
それでいて何かを語りかけてくる気配をまとっている。

陽が傾くと影が伸び、
動物たちの静かな佇まいが一瞬、
命を帯びたように変貌する。
風が吹けば、表情まで揺らいだように見えて、
気がつけば、
こちらが物語の登場人物にされてしまっている。

そう、「動物」児童公園とは、
舞台の中心に山型遊具がどっしりと座り、
動物たちが脇役のように控える、
小さな劇場そのものだ。
しかしこの劇は観客を置き去りにせず、
訪れる者をそっと巻き込み、
知らぬ間に主役へ引き上げてしまう。

ほんの気まぐれに立ち寄ったつもりが、
夕暮れを合図にいつまでも立ち去りたくなくなる。
その魔法めいた吸引力こそ、
「動物」児童公園が
秘める最も美しい物語なのだ。