古石場川親水公園
アップデート:2025/07/12
古石場川親水公園は、都市の喧騒の合間に忽然と現れる、静かなる水の回廊である。かつて船が行き交った古石場川の流れをなぞるように、全長750メートルの水辺の小径が、牡丹一丁目から古石場二丁目へとしなやかに伸びている。整備されたその道は、ただの散歩道ではない。いくつもの橋をくぐり、さざ波を立てる水面を横目に見ながら歩く時間は、日常を離れる小さな旅に似ている。
ところどころに置かれたベンチは、風に吹かれて佇む旅人のための仮の住まい。木陰に揺れる葉音、足元を流れる水の音、そして子どもたちが集うジャブジャブ池の笑い声――この空間全体が、東京に潜むもう一つの異界の入口なのかもしれない。歩けば歩くほど心がほどけ、いつしか自分もまた、水の精に導かれているのではと錯覚してしまう。