五反田公園
アップデート:2025/07/13
五反田の喧騒をほんの少しだけ横にそれると、まるで時の綻びからこぼれ落ちたかのように「五反田公園」が現れる。ビルの谷間にぽっかりと口を開けた静寂の空間。ここには風が音を立てて通り抜け、季節が丁寧に色を塗り替えていく時間がある。
小さな鉄棒は、往年の遊び人たちの記憶をそっと抱き、誰かが忘れていった夢の続きを支える。オブジェはなにやら意味深な表情で訪問者を迎え、見る者の心にそっと謎を蒔く。ベンチに腰かけて目を閉じれば、五反田という現実の街がすこしだけ遠くに感じられる。ここは、都市の片隅に封印された、目に見えない時間の保管庫。散歩者にとっては束の間の逃避行、哲学者にとっては答えのない問いが漂う場所である。