日比谷公園
日比谷公園は東京のまさに心臓部に置かれた、緑と石畳の大舞台である。
ここにはただの公園以上のものが宿っている。震災や戦争の非常時には避難所として人々を受け入れ、平時には音楽堂や花壇で文化を育み、時代ごとの要望に応えて変容してきた。日本の公園文化の旗艦ともいうべき存在であり、訪れるたびにその歴史の厚みが空気に滲み出している。
広大な敷地には都心であることを忘れさせる深い木陰もある。遊具エリアには愛嬌ある動物たちの姿が散りばめられ、子どもたちは小さな冒険者として駆け回る。大人はその賑やかさを横目に、ベンチで日差しを浴びながら本を開き、時折見上げる空の広がりに心を解き放つ。都会の只中にして、ここは過去と未来を結ぶ交差点。日比谷公園を歩くと、自分もまたその悠久の流れの一部になったような気がしてくる。









