
うえのまち公園に足を踏み入れると、ふと時間の針がどこかで立ち止まったかのような気配が漂う。住宅街の奥にぽつんと現れるこの空間は、誰もが子どもの頃に一度は夢見た秘密の庭のようである。
広々とした砂場は、ただの砂ではなく、想像を幾重にも膨らませる原野であり、城や山や見知らぬ国を築き上げる舞台となる。ひとつだけ設けられたブランコは、風に乗り孤独を愉しむための特等席のように揺れている。そして、少し色あせたパンダの遊具は、どこか達観した表情で訪れる者を迎え入れる。静けさの中に不思議な温もりを宿したこの公園は、忘れていた自分自身に出会わせてくれる小さな扉のような場所だ。




