平尾平和児童公園
アップデート:2025/11/01
平尾平和児童公園へ向かうには、まずはあの長く続く坂を上らねばならない。街の喧騒から少し離れ、坂道をえっちらおっちら登るうちに、しだいに景色は開けていき、身体の重さと引き換えに、何かが静かに心の奥でほどけてゆく。やがて、上り詰めた先に、木々の隙間から現れるのが「平和の郷」の碑である。
それはまるで、現実と物語の境界線に立てられた道しるべのように、しんとした存在感をたたえてそこにある。碑のそばには、ベンチや遊具がぽつんと置かれ、公園というよりは、誰かの記憶が染み込んだ庭のようだ。風が吹けば葉が揺れ、空の青さにひとすじの祈りが混じる。子どもたちの声がそこに加われば、静けさの中にも確かな温もりが灯る。平尾の坂の上には、名もなき人々の祈りが、いまもなお息づいている。









