奚疑公園
アップデート:2025/04/10

奚疑公園──その名の由来は、かつてこの地にあった私塾「奚疑塾」に遡る。
学び舎の名を冠したその響きには、どこか哲学的な、問いを問いのままに抱えるような静謐さが宿っている。
公園は稲城市役所のほど近く、喧噪からわずかに外れた場所にひっそりと広がり、全体がエメラルドグリーンに統一された、まるで思索のために着色されたかのような空間である。
遊具もベンチも柵も、何もかもが同じ色を纏い、境界線を曖昧にしている。まるでこの場所そのものが、ひとつの大きな思考の部屋であるかのようだ。
風が吹けば、葉のさざめきが小さな問いかけのように耳をくすぐる。ここでは遊ぶことすら、学びの一部であるかのように感じられる。足を止め、腰を下ろせば、過ぎてきた時間がふわりと背後に立ち上がり、誰にも知られずに再びこの地に帰ってきたことを祝福してくれるようだ。









