幸方公園
アップデート:2025/04/07

幸方公園は、まるで町の片隅にぽっかりと口を開けた異界の入口のように、ひっそりと存在している。そこへ足を踏み入れるには、まず木漏れ日に彩られた立派なパーゴラをくぐらねばならない。くぐる者はその瞬間、日常から半歩だけ逸れることになる。
すると、視界の先に現れるのは、すました顔の牛の滑り台。どう見ても滑るための造形ではなく、何かを見張るためにそこに座しているとしか思えない。その近くでは、パンダのスイング遊具がゆっくりと揺れており、まるで忘れられた約束を守り続けているかのようだ。
家々の間に挟まれながら、ここだけが奇妙に濃密な時間を湛えている。まさに、昼下がりにそっと迷い込みたくなる公園である。







