矢野口根方児童公園
アップデート:2025/07/24

矢野口根方児童公園は、まるで街角に咲いた一輪の花のように、レンガにそっと包まれている。四方を囲む煉瓦の低い塀は、まるで昔ながらの迷宮の入り口のようで、ほんの少しだけ外界との境をあいまいにしてくれる。そこに置かれた滑り台は、さながら静かに夢を滑り降りるための装置であり、鉄棒は錆びつきながらも空への憧れを忘れていない。
地面に目をやれば、黄色く彩られたマンホールがにわかに主張をはじめる。まるで舞台の脇役が、ひとときだけスポットライトを浴びたかのように、誰よりも鮮やかにそこに在る。住宅の谷間で眠るこの小さな庭は、通りすがりの者をしばし立ち止まらせる不思議な吸引力を持っている。静けさのなかに潜む物語の匂いに誘われて、思わず足を踏み入れてしまう。





