神宮前公園
アップデート:2025/12/29

神宮前公園は、まるで街のざわめきから半歩だけ浮き上がったような、小さな高台にそっと身を寄せている。階段を上がるたびに視界がふわりと開け、日常の重さが少しずつ削がれていく。
頂にたどり着くと、パーゴラの下に整えられたテーブルセットが、まるで古くからの常連を迎えるかのように静かに待っている。
風を受ける木々の影が揺れ、そこに混じってリスとぶたの愛嬌ある姿が視界の端をふわりと和ませる。彼らは遊具でもマスコットでもなく、この公園の時間の流れを体現するような存在で、のんびりとした空気をさらに深めてくれる。
椅子に腰を下ろせば、遠くの音がふと途切れ、周囲がひとつの物語の舞台に変わる。高みにあるというだけで、景色も気分もすっと軽くなるのが不思議だ。
神宮前公園は、忙しない一日をそっと包み隠す隠れ家のような場所である。ここに来れば、ただ“休む”という行為が、ひとつの旅のように思えてくる。






