都市が静かにその輪郭を変えていくなかで、公園にあった小さな山たちはひとつ、またひとつと姿を消していく。かつて子どもたちが登り、滑り、無謀な挑戦心でよじ登った丘。
その土の匂いや、陽に温められた滑り台の金属の体温までもが、じわじわと記憶の向こう側へ押しやられていく。
けれど、駒込公園にはまだそれが残っている。かすかな高低差が、子どもの魂を刺激し、午後の陽射しのなかで無邪気という名の冒険者たちを迎え入れてくれる。都市が山を平らにしようとも、遊びの地形はまだここにある。今こそその背に立ち、風を感じ、もう一度あの丘を滑り降りるべき時なのだ。