国立市公園探訪

噴水がある公園

噴水

公園の中心で噴水は、まるで一瞬だけ地上に現れた透明な生き物のように、水を高く蹴り上げている。陽光を受けた水柱は細かな粒となってきらめき、空へ向かうたびに形を変え、落ちてくる瞬間にはまるで別の世界から舞い戻ってきたかのような神秘をまとっている。水音は絶えず心を優しく揺さぶり、近づくほどに微かな涼が肌を撫で、日常の埃をそっと洗い流してくれる。

周囲には濡れた石畳が淡く光り、その上には風が運んだ虹色の欠片がふわりと漂う。訪れる人々は皆、それぞれの距離を保ちながらも、この水のリズムに知らず引き寄せられている。子どもたちの走り回る足音も、老人がベンチで休む静けさも、噴水の響きに包まれると不思議と調和し、公園全体がひとつの大きな呼吸をしているように思えてくる。

噴水はただ水を放つだけではなく、季節や時間を映す透明な舞台であり、訪れた者の心にそっと余白をつくる存在だ。その前に立つだけで、小さな旅が始まる。

噴水がある公園

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