国立市公園探訪
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今のところ公園76探訪。
公園の奥まった一角にひっそりと設えられた庭園は、まるで世間の喧騒がうっかり置き忘れられたような、静謐のかたまりである。砂利道を踏みしめるたび、細やかな音が足元から立ちのぼり、訪れる者の意識をゆっくりと日常の外へ連れ出していく。刈り込まれた低木の曲線は、古都の絵巻から抜け出したかのように流麗で、苔むす石は長い年月をじっと抱え込んだまま、控えめに輝いている。
池の縁に腰を下ろせば、水面が風の通り道を示すようにゆらりと波立ち、木々の影が淡い模様を描きながら移ろってゆく。ここでは時間の速度がひっそりと変わる。外界の時刻表とは無関係に、庭園だけの特別な時が流れ、訪れる者をゆるやかに包み込む。
石灯籠や小さな橋が点在する風景は、歩くたびに新しい角度を見せ、まるで迷宮のように奥へと誘う。深呼吸すれば、樹木の香りが胸の奥に染み込み、忘れていた感覚がそっと目を覚ます。公園の庭園は、都市の片隅に潜む隠れ里であり、心をふっと軽くするための小さな逃避行だ。気づけば、また訪れたくなる。