馬橋ほんむら公園
アップデート:2025/12/02

馬橋ほんむら公園に足を踏み入れると、まず迎えてくれるのはひんやりとした霧の帳である。夏の日差しに焼かれた身体を包むように、ミストシャワーが静かに降りそそぎ、公園の入口は小さな異界の門となる。そこをくぐった者だけが、この場所の二面性に気づくのだ。
穏やかな日には憩いの広場として、木漏れ日の下で人々がゆっくりと腰を下ろすベンチ。しかしそのベンチが、ひとたび事が起こればかまどへと生まれ変わる。シェルターもまた、普段は風を避ける優しい屋根でありながら、非常時には防災の要として静かにその本性を現す。
公園全体が、のどかな日常と備えの精神とを巧みに重ね合わせた、町の守り神のような場所だ。ミストの涼しさに誘われて訪ねれば、ただの公園以上の安らぎと、ささやかな強さがそっと胸に灯る。こんな場所があると思うだけで、ふらりと歩いて行きたくなる。





