桑田記念児童遊園 | 港区公園探訪

桑田記念児童遊園

桑田記念児童遊園は、日常の中にひそむ小さな異世界だ。足を踏み入れると、まず視界を支配するのは赤と青と銀色が絡み合う、あまりにもスタイリッシュな滑り台。その曲線と角度は計算され尽くし、まるで彫刻のように静かに立ち、しかし近づく者を拒まない。陽射しを浴びれば銀色は鋭い光を返し、曇天の日には赤と青がしっとりと浮かび上がる。

その隣に構えるのは、磨き上げられたピカピカのプレイジム。表面には前日の雨の名残が小さな水滴となって残り、子どもたちの手足が触れるたびに光を散らす。さらに、公園の片隅にあるシェルターや蛇口までもが、ただの設備で終わらず、控えめな造形美をまとって佇んでいる。蛇口からこぼれる水は陽光を受けて細い虹を作り、シェルターの影は午後の地面に幾何学模様を描き出す。ここでは遊びと美が同じ舞台に立ち、訪れる者を無言のまま魅了し続けている。