りす児童遊園
アップデート:2025/05/31
名はりすと名乗りながら、
主役は一匹の小動物などではない。
ここには、超ラダー複合遊具という、
もはや“遊具”の域を超えた存在が、
孤高の騎士のように、堂々と佇んでいる。
鉄と汗で築かれたその姿は、
昭和の叙事詩を体現するかのよう。
かつて街角のあちこちで見かけたこの巨塔も、
今では貴重な生き残り。
遊具界のレジェンド。
撤去の波に抗い、今なお現役の闘士である。
子どもたちは登る。這い上がる。
はしごの一本一本が、
小さな勇気を試す試練の段差。
頂上から見下ろす視界は、
人生初の征服感に満ちている。
その孤高を支えるかのような滑り台たち。
斜面を駆け、風になる者たちの通り道。
誰かが登れば、誰かが滑る。
誰かが笑えば、誰かがまた登る。
静かなる鉄の要塞――
りす児童遊園は今日も、
幼き冒険者たちのために、
ひとつも軋まず、黙ってそこに立っている。