深沢五丁目公園 | 世田谷区公園探訪

深沢五丁目公園

深沢五丁目公園は、公園という言葉の想像を少し裏切る場所である。コンパクトな敷地に対して、どう考えても釣り合いの取れていない大きな木が、どんと居座っている。

遊具もなく、ベンチすら置かれていないのに、その木は十分すぎる存在感で空間を満たしている。枝葉は空を占拠し、根は地面の下で長い時間を抱え込み、訪れる者に立ち止まることを強要する。座る場所がないからこそ、人は自然と木を見上げ、影の移ろいに身を委ねる。

街の片隅に現れたこの巨大な沈黙は、忙しい日常の速度を確実に狂わせる。何もしないために訪れたくなる、稀有で贅沢な公園である。