羽根木公園
代田
アップデート:2025/08/09
羽根木公園は、名前に幾つもの時代の層を重ねてきた場所である。かつては六郎次という鍬や鎌を打つ鍛冶屋が住み、その名を冠して六郎次山と呼ばれた。大正の末には敷地の一部が根津財閥の手に渡り、根津山という呼び名も加わった。
今もなお、この地を「根津山の公園」や「六郎次山」と呼ぶ声が、地元の人々の暮らしにしっとりと溶け込んでいる。そして公式の名は、かつてここが東京都荏原郡世田谷村大字羽根木の飛び地であったことにちなむ。
広大な園内は三つの表情を持つ。森と風とが親しげに戯れる自然のエリア、日常を支えるブランコや鉄棒が並ぶ通常遊具のエリア、そして身体をのびやかに鍛える健康促進エリア。
その中央で主役を張るのが、黄色と緑に彩られた滑り台と迷路が一体になった巨大遊具だ。遠くからでもひときわ鮮やかに見え、子どもの笑い声を吸い込んでは吐き出す。ここでは歴史も遊びも、ひとつの風景として溶け合っている。