世田谷区役所のほど近く、喧騒をほんの少し背中に押しやると、そこには「くぬぎ公園」という名の異空間がひっそりと広がっている。木洩れ陽のなか、パンダたちが無言で佇むその姿は、見る者の心を妙に和ませる。
人工のせせらぎが静かに流れ、時間の流速までもゆるやかに変えてしまうかのようだ。ベンチに腰かければ、行政も義務も現世の雑事もどこかへ飛んでゆく。ここは世田谷に残された、最後の桃源郷かもしれない。
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