長島大榎公園
長島大榎公園に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは、住宅街の只中にふいに現れた巨木の威容である。長島家の土地に根を張り、時代をまたいで枝を広げてきた大榎は、この公園の主であり、物語の中心人物でもある。
公園はあくまで大榎があってこその舞台装置で、滑り台やブランコは、まるで木の庇護のもとで静かに息づく小さな脇役のように配されている。
経堂五丁目の特別保護区と隣り合い、個人宅の庭の緑と一体となったこの一帯は、地図上では住宅街だが、歩けば小さな森の気配が漂う。
風が通れば葉のざわめきが耳に寄せ、午後の光が差し込めば、時間の流れさえ穏やかに変わる。住民たちが原風景として守り続けてきた緑豊かな景色は、訪れる者の心にもどこか懐かしい湿り気を残す。
巨木の影に包まれながら遊具が佇む光景は、都市生活のただ中に潜む秘密のオアシスのようで、ふと迷い込むだけで日常が少しだけ柔らかくなる。
こんもりと盛り上がった緑の丘のような空間を歩けば、過ぎ去った季節の気配がそっと蘇り、知らぬうちに心が木漏れ日に照らされていることに気づくのである。




