大山道児童遊園
弦巻
アップデート:2025/12/21

大山道児童遊園は、江戸の人々の足音が今も地面の下で息づいているかのような公園である。
かつて雨を願い、人々は丹沢の大山を目指してこの道を歩いた。赤坂から青山、世田谷を抜け、弦巻を経て二子へ向かう長い道行きの途中、ここは心と体を休める節目であったに違いない。
その記憶を受け止めるように、商家の主人を模した像が静かに佇み、往時の一服の気配を漂わせる。滑り台や砂場には現在の時間が流れ、子どもたちの遊ぶ姿が歴史と重なり合う。
大山道児童遊園は、旅の途中に生まれた小さな余白であり、過去と現在が穏やかに交差する、歩いて訪れたい場所なのである。





大山詣
江戸時代中期、関東一円の農村には雨乞いのために、雨降り山とよばれる丹沢の大山に参詣する習慣がありました。
これを大山詣といいます。赤坂見附から、青山、世田谷、二子、溝ノ口、長津田、伊勢原を経て大山に至るこの道は、俗に大山道とよばれていました。世田谷区内の大山道は、三軒茶屋、世田谷通り、ボロ市通り、そして弦巻を通って、用賀、二子玉川に行っていました。
しかし、大山詣はしだいに、信仰は口実となり、帰り道東海道に出て、江ノ島や鎌倉で遊ぶ物見遊山の旅に変わってきました。
この像はそんな大山詣をする商家の主人をモデルに、たぶん一服しただろうと思われるこの場所に設置したものです。
(公園案内版)