渋江公園
アップデート:2025/06/20
かつてこの地に、セルロイドの光沢が輝きを放っていた。大正3年、近代工業の狼煙が上がり、やがてその痕跡は昭和27年に石碑となり、静かに時代を語る。そんな土地に、昭和30年代から鎮座する山型遊具がある。
色あせながらも、まるで記憶を背負った古老のように、子どもたちを今日も待っている。その曲線、その傾斜には、幾千の冒険と笑い声が染み込んでいる。そして芝生広場には、時折幻のように岬太郎のドリブルが駆け抜ける。風の音か、ボールの音か、かつての夢がそっと足元をかすめる。過去と現在が共存する、風通しの良い不思議な空間である。