たちばな仲よし公園は、その名のやさしさとは裏腹に、胸の奥に眠る冒険心を鋭く呼び覚ます場所である。
昭和の時代には珍しくなかった、タワーと梯子が複雑に絡み合う遊具が、今もなお空へ向かって屹立している。
登れば足はすくみ、渡れば風が身体を揺さぶる。高さと構造の入り組み具合、そしてどこか挑発的な佇まいは、安全第一が当然となった現代において、明らかに異端だ。
それでもこの遊具は、恐る恐る近づく者を拒まず、軽々しく挑む者を容赦なく試す。その姿はひそやかに火を灯し続ける冒険の神殿のようであり、名と実体の落差に導かれて、人はいつしかこの公園へと吸い寄せられてしまうのである。



