たぬき山公園
アップデート:2026/02/28

住宅地の只中にありながら、たぬき山公園にはどこか現実の継ぎ目がゆるんだような空気が漂っている。坂と坂が折り重なる地形は、歩く者の重心をさりげなく惑わせ、いつの間にか自分も尻尾を隠し持つ存在ではなかったかと疑い始める。
高低差を駆け上がり、転がり、見下ろせば、たぬきが喜びそうな遊具が巧妙に配置されており、ここが人間専用の公園であるという確信が揺らいでくる。
遊びに夢中になるほど幻覚は濃くなり、気配だけのたぬきたちが周囲を取り囲む。そんな想像に少し疲れたなら、四阿に身を預けて深呼吸するとよい。風が木々を渡り、正体不明の安心感が戻ってくる。たぬき山公園は、日常の皮を一枚めくるための、静かな装置なのである。









