立川第二児童遊園(安兵衛公園)
アップデート:2025/08/10
立川第二児童遊園――通称・安兵衛公園。かつてこの界隈には、あの「忠臣蔵」討ち入りへ向かう赤穂浪士のひとり、堀部安兵衛の剣術道場があったという。吉良邸討ち入りの集結地のひとつとして名を残すこの土地は、今では穏やかな住宅地の一角に息づいている。
しかし耳を澄ませば、冬の夜、雪を踏みしめる足音や、息を切らせた武士の気配が、芝生や遊具のあいだから立ちのぼるようだ。
滑り台や砂場は、歴史を知らぬ子どもたちの笑い声で満ち、その傍らで一頭の馬――といっても頼もしいスイング遊具――が、今日も小さな騎士を背に揺れている。過去と現在がひそやかに重なり、砂埃に混じって刀の鍔鳴りが幻のように響く。遊び心と歴史の影が同居する、不思議な時間の流れる公園である。