童橋公園
アップデート:2025/09/22
童橋公園は、街のざわめきに囲まれながらも、どこか文学の香りを帯びた不思議な空間である。中央には色とりどりの複合遊具が置かれ、ブランコや砂場が子どもたちの歓声を受けとめているが、その片隅に足を運ぶと、時間の流れがふっと緩む。
そこには詩人・室生犀星の家で使われていたという庭石が、ひっそりと庭園風の一角に据えられているのだ。石は無言のまま、かつての詩人の息遣いや言葉の余韻を伝えようとしているかのようで、木漏れ日に照らされるその表情を眺めていると、公園そのものが一篇の詩に包まれているように感じられる。
遊びと静寂、日常と文学がゆるやかに交わる、ひとときの小宇宙である。