代々木ポニー公園
アップデート:2025/08/06

代々木の住宅地を歩いていると、どこからか土の香りと小さな蹄の音が漂ってくる。その先にひっそりと広がるのが、代々木ポニー公園だ。名前に偽りなく、この公園はポニーたちのためにある。柵の向こうでは、栗色や白い毛並みのポニーがのんびりと草をはみ、時折ふさふさの尻尾を揺らして夏の光を追い払っている。
運が良ければ、乗馬体験も叶うという。小さな背にまたがり、都会の空に一筋の風を切るとき、まるで遠い牧場に迷い込んだかのような気分になる。遊具や華やかな設備こそないが、その静けさが逆に贅沢である。ポニーと目が合うと、こちらの心の奥のざわめきまで見透かされるようで、自然と息が深くなる。代々木の喧騒のただ中で、ここだけがやさしく時間を外れたように、静かに、確かに、蹄の音が響いていた。




