すすき野

すすき野という町名には、風の通り道があらかじめ仕込まれている。昭和の区画整理によって生まれた整然とした街並みの下には、かつて中里村や山内村であった頃の野の記憶が、薄くしかし確かに息づいている。

武蔵野に連なる土地は空が広く、秋になれば想像の中でススキが一斉に穂を揺らす。繁茂する植物に町の未来を託した名付けは、慎ましくも野心的で、この地が歩む時間の長さを静かに示している。道は素直に伸び、住宅の合間に余白があり、歩くほどに心拍が整っていく。派手な観光地ではないが、日常を少し外側から眺め直すにはうってつけの場所だ。

すすき野は、訪れる者に秋草のような強さとやさしさを、気づかぬうちに手渡してくれる町なのである。

すすき野の場所

すすき野・町名の遍歴・由来

昭和48年の土地区画整理事業の施行に伴い、鉄町・黒須田町・元石川町の各一部から新設した町。古くは都筑郡中里村・山内村の内であった。平成6年の行政区再編成に伴い、緑区から編入。町名は武蔵野とススキは縁が深いもので、秋の七草の一つであると共に、よく繁茂する植物であることから、町の繁栄に願いを込めて「すすき野」と名付けた。
(町名の遍歴・由来 横浜市青葉区)

すすき野の公園