荏田釈迦堂第二公園
アップデート:2025/12/17
荏田釈迦堂第二公園は、目的を急がぬ者のためにひっそり用意された高台である。階段を一段一段のぼるたび、日常の騒音は削ぎ落とされ、代わりに風と空の広さが胸に入り込んでくる。頂に置かれたベンチは、ただ座るための家具ではなく、眺めを味わうための装置であり、腰を下ろせば街の輪郭がゆるやかにほどけていく。
遊具はないが、それは欠落ではなく選択である。すぐそばを走る東名高速道路の低く絶え間ない響きが、時間の流れを可視化し、ここが都市の只中であることを静かに教えてくれる。何も起こらないことを楽しむために、人はこの階段をのぼり、この公園へ向かうのである。








