市ケ尾駅前公園は、駅前という現実的な立地にありながら、ひと呼吸おいて世界をずらしてくれる不思議な余白を持っている。コンパクトな敷地にはベンチが多めに配され、行き交う人々の速度をそっと緩める仕掛けが施されている。
大人は中央に据えられたオブジェ「塔」を眺めつつ、電車の時間も忘れて腰を下ろす。無機質な構造物でありながら、いつのまにか思索を誘う存在となり、駅前の喧騒を遠ざけてくれる。
一方、子どもたちは少し段を上がった先へ引き寄せられる。そこには童歌や迷路が描かれたベンチがあり、座ることさえ遊びに変えてしまう。通過点であるはずの駅前に、わざわざ立ち寄りたくなる理由がある。市ケ尾駅前公園は、移動と滞在のあわいに生まれた、小さくも確かな居場所である。






