奈良山公園
アップデート:2025/10/27
奈良山公園は、まるで山の一部が突然目を覚まし、芸術作品として姿を現したような不思議な公園である。公園の中央に鎮座する巨大なオブジェは、山肌にぴたりと寄り添いながらも、どこか挑戦的な輝きを放っている。形は抽象的でありながら、自然と人工の境界をあざやかにまたぎ越えるその姿には、ひそやかな誇りが漂う。
近くには「子どもの国」という強敵が控えているが、奈良山公園は決して引けを取らない。むしろ、この地に息づく静かな野心――地区公園としての矜持が、草の香りの中に確かに感じられる。
オブジェをぐるりと回り込むと、やがて山の上に辿り着く。そこは風の通り道であり、広々とした展望台が街を見下ろしている。遠くの屋根や木々が陽に揺れ、まるで世界が少しだけ柔らかく見える。
日常のざわめきを抜け、山と芸術と風の境界に立つ――奈良山公園は、そんな奇妙で心地よい場所である。




















