今熊児童公園
アップデート:2025/06/04
駐車場の脇に口を開けた細道を進めば、急に世界が開けてグラウンドが姿を現す。今熊児童公園である。名前にどこか山岳信仰めいた趣があるが、その実、階段を降りた先には人里らしい遊具エリアがひっそりと佇んでいる。
段を踏みしめるたび、ふいに過去へ戻るような感覚を覚え、最後に辿り着くのは静かに揺れるブランコだ。風も人も気まぐれに通り過ぎ、何もかもがうたかたのように見えるその空間には、不思議な余白が満ちている。気がつけば、この公園に吸い寄せられていた理由が、言葉にならないまま胸に残る。