山田公園

山田公園には、昭和五十年代の残り香が今も確かに漂っている。整然と並んだ遊具は、まるでポケットメイトの精密な世界を実体化したかのようで、どこか懐かしくも奇妙に心を揺さぶる。傾斜の多い地形は、ただ歩くだけでも冒険の気配を漂わせ、寝転ぶ者、駆け下りる者、皆がそれぞれの遊び方を発明してゆく。
その傾斜を活かした長い滑り台は、滑るというよりも、時の流れを滑空する装置のようである。緑の濃さも格別で、光と影が追いかけっこを繰り返す。山田公園とは、ただの近所の公園ではない。ささやかな高低差の中に、かつての日本と、少しだけ未来とが共存している不思議な場所である。








