広尾児童遊園地
アップデート:2025/09/03

広尾児童遊園地は、住宅と路地が折り重なる迷宮の奥に、ぽっかりとひらけた秘密の庭のように姿を現す。周囲の密集した建物の壁に囲まれているのに、不思議とその中では時間がゆるみ、都会の騒音さえ遠い出来事のように思える。ここにはスプリング遊具が鎮座しており、動物のかたちをした小さな揺り椅子が、訪れる者を童心の国へと導く。
ぎこちなく跳ねるその動きに身を任せると、ふいに世界が波打ち、ありふれた日常が遊戯の夢に変わる。ベンチに腰掛けて見守る人々もまた、この場では旅人であり、忘れかけた物語の続きを探す者である。小さな公園だが、その懐には濃厚な異世界の気配が息づいている。


