滑り台のそばに、ベンチがある。
それだけなら珍しい配置ではない。けれど能ヶ谷すずかぜ公園では、その位置関係を眺めているうちに、どうにもベンチが「滑り台観察席」に見えてくる。
滑る人が主役なら、こちらは特等席だ。
滑り台を上り、そして滑る。その一連の動きを、ベンチからしっかり眺められる。公園のベンチといえば休憩するためのものだが、置かれる場所によって役割は少し変わる。ここでは腰を下ろすと、自然に滑り台が視界へ入ってくる。休憩席であり、観覧席でもあるような存在なのだ。
もちろん、大げさなスタンドがあるわけではない。ただのベンチである。それなのに「ここからご覧ください」とでも言いたげな配置に見えてくるのだから、公園探訪は面白い。
能ヶ谷七丁目、川の横にある広場が能ヶ谷すずかぜ公園だ。遊具は滑り台。広場があり、その傍らには川がある。そして滑り台のそばには、例のベンチが待っている。
滑り台を楽しむのもいい。しかし一度くらいは、そのベンチにも座ってみたくなる。
滑る側ではなく、眺める側へ。
公園の楽しみ方がほんの少し増える席が、川の横で静かに用意されている。







