新宿区公園探訪

神楽坂

新宿区神楽坂は、石畳がひそやかに物語を湛える迷宮のような町である。坂を上り始めると、都会の喧騒は背後に薄れ、どこか遠い時代へと足を踏み入れたかのような心地になる。細い路地は折れ曲がりながら続き、赤い提灯や黒塀の影が、訪れた者を静かに誘い込む。まるで町そのものが巨大な舞台装置のように、行く先ごとに異なる表情を見せてくる。

昼下がりには和菓子の甘い香りが風に漂い、夕暮れが近づくと、古い料亭の灯がほのかに揺れて、坂道全体が柔らかな金色へと染まる。路地の奥に隠れた店々は、初めて来た者にさえ懐かしさを感じさせ、再訪を予感させる不思議な磁場を放つ。

歩けば歩くほど、この坂は心をほどき、知らぬうちに日常を忘れさせてくれる。神楽坂は、迷い込むほどに魅力が増す町である。ここを訪れると、また次の角を確かめに来たくなる。

神楽坂の場所

神楽坂・町名の遍歴・由来

「神楽坂」の名称の由来について、『江戸名所図会 巻之四』(天保7年)によれば、この坂の右側に高田穴八幡の旅所があり、祭礼で神輿が通るときに神楽を奏したからとも、「若宮八幡の社」の神楽の音がこの坂まで聞こえたからともいわれる。また、「改撰江戸志」 (原本は残っておらず成立年代は不明だが文政以前にすでに存在が確認されている) には、津久戸明神が元和の頃に牛込の地に移転した時、神輿が重くてこの坂を上ることができなかったが、神楽を奏すると、容易に上ることが出来たため、この時より「神楽坂」の名が付いたと記されている。 (神楽坂 - Wikipedia)

神楽坂の公園

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