新宿区公園探訪
Contents
街で選ぶ
遊具や施設で選ぶ
今のところ公園132探訪。
喜久井町は、早稲田の学びの気配と、古い町の静けさがゆるやかに混じりあう、不思議な温度をもった場所である。大通りから一筋入るだけで、風景はしんと落ち着き、細い路地が行き先をぼかしながら続いている。漂うのは、昔から住む人々の息づかいと、どこか文学の余韻のようなものだ。歩くうちに、時間の流れがゆっくりと軟化してゆくのを感じる。
町には、わずかに残る古い家並みが低く佇み、季節の花がささやかに色を添える。午後の光に照らされた石畳には、学生の影が伸び、夕暮れになると静謐がさらに深まり、世界の輪郭が柔らかくほどけてゆく。ふとした曲がり角の先に、まだ見ぬ景色が控えているようで、歩みを止めることが惜しくなる。
喜久井町を歩くと、忘れていた勘がふっと戻ってくる。自分がどこから来て、どこへ向かうのかという問いを、町が優しくたたみかけてくる。控えめでありながら、心を掴んで離さない魅力がここにはある。気づけば、また訪れたくなるのである。