新宿区公園探訪

南榎町

新宿区南榎町は、都会の只中にひっそりと根を張る、小さな森のような町である。通りに面して立つ家々の屋根がちいさく寄り添い、そのすき間から覗く空はどこか懐かしい青色を湛えている。歩道にはゆるやかな影が伸び、古い石垣や曲がり角のたびに、まるで長らく封じられていた物語がそっと表情を見せる。

南榎町の魅力は、その落ち着きが町全体にほどよく浸透しているところにある。すぐ隣にある賑やかな通りの気配は感じつつも、この小さな区画に入ると空気はやわらぎ、足取りは自然とゆっくりになる。道沿いの植木鉢や路地裏に潜む階段は、まるで町そのものが歩く者を導こうとしているかのようだ。

ふと風が吹けば、古い家並みにしみこんだ季節の香りが立ちのぼり、ふっと心の奥がほぐれていく。南榎町は、都会の騒がしさをすぐそばに感じながら、静かな余白をそっと抱え込んでいる、稀有な小径の町である。

南榎町の場所

南榎町・町名の遍歴・由来

泉鏡花旧居跡:明治から昭和初期にかけて、日本文学に大きな業績を残した小説家泉鏡花が居住していた。 南榎公園の隣には、徳川家康に仕えた儒学者林羅山を筆頭とした林氏の史跡がある。 久保田万太郎や菊池寛、和田芳恵ら住んでいた。また、イデア書院(のちの玉川学園出版部)や成城学園後援会出版部などもあった。 (南榎町 - Wikipedia)

南榎町の公園

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