新宿区公園探訪

左門町

左門町という名を口にすると、不思議と胸の奥にひとつ風が灯る。新宿の喧騒に寄り添いながらも、どこか剣呑な気配と静謐が共存しているような、名の響きからして由緒の影を引きずる土地だ。だが実際に歩いてみれば、その印象はやわらかく裏切られる。細い道が思いがけず開け、小さな店がひっそり佇み、暮らしの匂いが道端にほのかに漂っている。

古い建物と新しい建物が肩を並べ、過去と現在が不思議な調和を見せている。散歩をしていると、ふと角を曲がるたびに景色の層が変わり、小さな期待が胸に生まれる。住宅街の静けさは、まるで手のひらにのる小石のように落ち着いていて、歩くほどに心のざわめきが沈んでいく。

夕暮れの光が差すころ、左門町は一瞬だけ宵の入り口となる。ふと足を止めれば、家々の窓にともる灯りが、まるでこの町全体がひっそり息をしているように見える。その気配に包まれながら歩く時間は、日々の狭間に潜む小さな贅沢となる。そんな町にまた来たくなるのは、きっとその静かな魔法のせいだ。

左門町の場所

左門町・町名の遍歴・由来

左門町は、江戸時代には鶴屋南北による怪談話『東海道四谷怪談』に登場する「お岩」が居住していた地としても知られている。当地には「お岩」を祀った於岩稲荷が存在するが、史実としてお岩自身は一般的に「四谷怪談」で知られるような恐ろしい女性ではなく、大変仲睦まじい夫婦であり、良く働き家庭を支え続けた健気な女性であったといわれている。
地名の由来は、この地に江戸幕府の先手組組頭・諏訪左門の組屋敷があったことにちなんでいる。 (左門町 - Wikipedia)

左門町の公園

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