新宿区公園探訪

人研ぎ滑り台がある公園

人研ぎ滑り台

人研ぎ滑り台。それは単なる遊具ではなく、子ども心の冒険心を試す、静かに威圧的な造形物である。緩やかな斜面に足をかけ、滑り始める瞬間、全身に小さな緊張が走る。木製の板面を伝わる手触りは、滑るという動作を超えて、手と足、体全体で公園の空気を掴む儀式のようだ。滑り台の長さや角度、傾斜の微妙な変化が、一度として同じ滑走体験を許さず、乗るたびに新しい発見が待っている。

滑る前の階段を一段一段上るたびに、視界は徐々に高くなり、周囲の風景が変化していく。見下ろす公園の地面は遠くに伸びる絨毯のようで、子どもはまるで小さな探検家になった気分を味わえる。足元の段差、手すりの木肌、風が耳をかすめる感覚すべてが、日常の重力をほんの少しだけ解きほぐしてくれる。滑り台の頂点に立つと、心がわずかに浮き、恐怖と期待の混じった昂揚感が全身を包む。

滑り出すときのスリルは言葉にしがたい。体が滑り台の曲線に沿って一気に動く瞬間、目の前の景色が流れ、音と風がひとつになる。小さな叫び声は自然と笑い声に変わり、滑ること自体が楽しく、軽やかで、まるで自分が空中に溶けていくかのような錯覚を覚える。滑り終わったあと、地面に足が着いたときの衝撃と達成感は、ただ座っているだけでは得られない生きた感覚であり、再び階段を登りたくなる衝動を呼び起こす。

人研ぎ滑り台は公園における小さな冒険の舞台であり、子どもも大人も、日常の枠から少しだけ飛び出すための装置である。単なる滑る道具以上に、五感すべてで体験する楽しさがここにある。足を運べば、必ずその魅力に心を奪われ、もう一度、もう一度と滑りたくなることだろう。

人研ぎ滑り台

人研ぎ(じんとぎ)とは「人造石研ぎ出し」の略である。単に漢字ではなく「じんとき」もしくは「ジントキ」と書かれる場合もある。 セメントに種石(きれいな小粒石あるいは割石)を混ぜて人造石を作り、硬化後、その表面を研磨して作る。
平面の天板や出入口額縁だけではなく、曲面の手摺りや立体形の流しなどを一体として作ることもでき、昭和40年代頃まで多くの建物に使われた。 主に左官職人が製作してきたが、現在、施工できる者はかなり少なくなってきている。
(人研ぎ – Wikipedia)

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