新宿区公園探訪

ロッキンパッピーがある公園

芸術/オブジェ

公園の片隅に腰を据えるピンク色の「ロッキンパッピー」は、まるでこの世界の重力とは別の法則で生きているかのような愛嬌を放っている。丸みを帯びた背中はどこから見ても朗らかで、色あせてもなお子どもたちの視線を惹きつける。太陽の光を浴びると、その身体はほんのりと温まり、春先の陽だまりでうとうとする本物の子犬のようでもある。

近づけば、鉄のスプリングがひそやかにきしみ、乗ってみろと誘うように揺れている。腰を下ろすと、パッピーは静かな呼吸を始めたかのように前後へと揺れ、そのたびに景色がゆらりと波紋を描く。わずかな動きなのに、心の奥で何かがふっとほどけていき、幼いころに抱いていた無条件の信頼や喜びが、そっと戻ってくる。

ロッキンパッピーは、公園の守り神にも道案内人にもなれる、不思議な存在だ。誰が来ても同じ笑みを湛え、乗れば必ず少しだけ世界を軽くしてくれる。気づけばまた、そのピンク色の背中に会いに行きたくなる。

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