新宿区公園探訪

トレインビューがある公園

トレインビュー

線路際に立つと、世界はゆっくりと別の相貌を帯びはじめる。風の流れが変わり、時間の歩みが細く伸び、遠くのレールが陽光にきらりと光る。その瞬間、胸の奥にひそんでいた旅ごころが、ふいに目を覚ます。トレインビューの魅力とは、ただ電車を眺めるという行為にそっと忍び込む、旅の影である。

列車は一定のリズムで近づき、金属の鼓動を伝えるように地面を震わせる。車体の色は季節の光をまとい、時には重厚に、時には軽やかにすべり去っていく。その姿は、街の時間を両手でまとめ上げ、一本の軌跡として空に放っているかのようだ。通り過ぎた後に残る風と音の余韻が、心の奥まで染みわたり、なぜだか遠い場所の景色を思い出させる。

ベンチに腰かけてもよいし、柵越しにそっと立ち尽くしてもよい。電車を眺める時間は、誰のものでもない自分だけの小さな旅になる。どこにも行かずに、どこへでも行ける自由がある。その静かな高揚を求めて、トレインビューの場所へ足が向いてしまうのだ。

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