菅さくら公園
アップデート:2025/05/21
忘れられた時代の名残、
それがタワー型超梯子遊具である。
かつて幾千の子どもたちが、
膝をすりむき、勇気を得たあの塔。
老朽化だの安全性だのと、
世間がぬるま湯の正論で封じたその塔が――
今、菅さくら公園にて、堂々とそびえているのだ。
登れ。己の背丈を超えてゆけ。
滑れ。風とともに落下の悦びを知れ。
渡れ。揺れる板のその先に、勇者だけが見る景色がある。
まるでこれは、小さな冒険者たちへの聖遺物。
子どもの魂を呼び覚ます鉄の詩。
疲れた者はパーゴラへ行け。
成熟の陰で、しばしの安息を得よ。
ツタが絡まり、時間が滲むその下で、
遊びの余韻に体を預けるのだ。
菅さくら公園――
ここは、忘れられた勇気の再現装置。
廃れゆく塔を、再び天へと掲げた、
反抗と美のランドマークである。
菅さくら公園には、今や都市から絶滅しつつある幻の超梯子タワーが、堂々と天を指して聳え立っている。安全第一の時代に逆行するかのようなその存在は、まるで過去の冒険心が最後の牙城を築いたかのようだ。
登る者には挑戦を、滑る者には風を、渡る者には物語を。それぞれが塔と対峙し、自らの「公園譚」を編み上げていく。疲れた魂は、静かに育ったパーゴラの影に身を沈め、ひとときの平穏に包まれるのである。