池が大半を占めるもえぎ野公園は、住宅地の一角にありながら、ふと気を抜くと遠い観光地に迷い込んだ錯覚を覚えさせる。水面は空を映し、風が渡れば光がほどけ、時間の流れが目に見えるかのようだ。
池の上を横断する歩道は、この公園の核心であり、特別な場所だけに許された贅沢なスケールを誇る。歩くたびに水との距離が変わり、眺めるだけで思考が静かにほどけていく。ベンチに腰を下ろせば、池はただ存在するだけで十分だと語りかけてくる。
主役はあくまで水と空と歩く時間。何かをしに来るより、何もしないために訪れたい。もえぎ野公園は、日常をそっと観光に変える、静かな大スケールの舞台である。










