片平日向公園
アップデート:2025/08/28

片平日向公園は、陸橋の影を背に、ひっそりと息づく小さな広場である。そこには遊具も噴水もなく、ただいくつかのベンチが置かれているばかり。しかし、その簡素さこそが、不思議な魅力を醸し出しているのだ。子どもの歓声が響くことは少なく、むしろ空を渡る風や車の走る音が、この公園の音楽をつくり出している。
午後の陽が傾けば、陸橋の隙間から差す光がベンチを照らし、まるでひとりの旅人を迎える舞台のようにも見える。ここに腰を下ろすと、都市のただ中にありながら、時間が緩やかにほどけていく。遊ぶためではなく、考え事をするためにある公園。片平日向公園は、心を立ち止まらせるための静謐な空白として存在している。


