新宿区公園探訪

余丁町

新宿区余丁町という名を地図の上で見つけるたび、そこだけひそやかに空気の色が変わるような気がする。喧騒の只中にありながら、通りを一歩入れば、時間がすこし緩やかに流れはじめる。古い街並みの名残が角ごとに潜み、路地にはふとした陰影が生まれ、散歩者の心をくすぐる。

小さな公園の木々は季節ごとに表情を変え、穏やかな木漏れ日を落としている。近くの寺社では、風に揺れる旗が静かな存在感を放ち、周囲の喧噪をそっと遠ざけてしまう。歩道沿いの植栽は手入れが行き届き、住宅街の奥からは人々の暮らしの温度がにじみ出る。

大きすぎず、小さすぎない絶妙なスケールのまち。都会の真ん中に潜む、小さな余白。その余白に足を踏み入れれば、心の隙間にも柔らかな風が吹き込む。余丁町は、歩くほどに輪郭が静かに整い、気づけば好きになってしまう不思議な場所である。

余丁町の場所

余丁町・町名の遍歴・由来

旗本の組屋敷であったところで、この町が4条あったので東大久保四丁目と呼んでいたが、1872年大久保前町と合併したのをきっかけに縁起の悪い「四」を改めて大久保余丁町とし、1911年に余丁町となった。
(余丁町 - Wikipedia)

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