新宿区公園探訪

芸術/オブジェがある公園

芸術/オブジェ

公園の片隅にそっと置かれたオブジェは、まるで風景のほころびからこぼれ落ちてきた異物のように、静かに佇んでいる。石とも金属ともつかぬ質感をまとい、光を受ければ表情を変え、影を落とすとどこか幻想的な輪郭を浮かび上がらせる。近づくほどにその存在は曖昧さを増し、何を象ったものなのか誰にも定められない。そこにこそ、妙に心を惹きつけられる秘密が潜んでいる。

ぼんやりと眺めていると、オブジェの周囲だけ時間が別の速度で流れているように感じられ、散歩の途中でふと迷い込んだ小さな異世界の入口のようでもある。子どもたちはそれを小山に見立ててよじ登り、大人たちは彫刻の意味を考えながら足を止めるが、そのどちらの遊び方も許容する包容力がある。

公園のオブジェは、ただの飾りではなく、訪れた者の想像力を呼び覚まし、静かな冒険へと誘う不思議な存在だ。ふらりと立ち寄れば、日常の陰に潜んでいた物語がひとつ、そっと目を覚ます。

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