新宿区公園探訪

歴史・名所がある公園

歴史・名所

公園を歩いていると、ふと足元の土や風の香りが、遠い時代の記憶をそっと呼び覚ますことがある。整えられた遊歩道の下には、かつて誰かが踏みしめた古い街道の名残が眠り、木々の並びは昔の屋敷の庭木の配置をどこか思わせる。何気ない広場の起伏にも、戦の陣地であったとか、田畑の境目であったとか、静かな歴史の影がひっそりと潜んでいる。

古い石碑がひとつ立っていれば、その一角だけ時間が別の色に変わる。刻まれた文字は風雨に削られ、読みづらくなっていても、その沈黙は確かに何かを伝えている。かつてこの場所を行き交った人々の息づかいが、木洩れ日の揺れとともに蘇るようだ。

名所として知られていなくても、公園には土地そのものが語る物語がある。ベンチに腰を下ろせば、風が運んでくる歴史の気配が、今いる自分と昔の誰かをゆるやかにつなぎ、ひそやかな旅へと連れ出してくれる。そんな時間を求めて、またその公園へ足を運びたくなる。

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