新宿区公園探訪

山型遊具がある公園

山型遊具

公園の中央に鎮座する山型遊具は、小さな丘がそのまま冒険の姿に変じたような、奇妙な存在感を放っている。近づくほどに、斜面の起伏はまるで意志を持つかのようで、登る者を試すように静かに身構えている。青空の下で光を浴びた稜線は、子どもの頃に心の中だけで描いた秘密の山脈のようでもあり、踏み出した途端に胸の奥でひそやかな高揚が膨らむ。

表面に散りばめられた手がかりを確かめながらよじ登ると、思いがけず風が頬を撫で、周囲の景色が一段高いところから開けていく。ほんの数メートルの高低差なのに、世界の見え方はゆっくりと変わり、地上に残した些細な悩みが小石のように遠くなる。頂上に立てば、地面に描かれた影がゆらぎ、小さな征服者となった気分が胸を満たす。

そして下り道は、未知への滑走路のように広がる。降りるたび、重力に抗う心と委ねる身体がいたずらに交錯し、ふと笑みがこぼれる。山型遊具は、日常の隙間に現れた小さな峰であり、訪れる者を静かに冒険へと誘う。

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