山王下

山王下に足を踏み入れると、まるで街そのものが静かな呼吸をしているようだった。丹沢の風が遠くから渡り、団地の斜面をすべり降り、舗道の植栽をふくらませて通り抜けていく。その風に誘われるように歩けば、階段状に連なる建物群が淡い影を落とし、谷あいに沈む夕日がその影を金色に縁取る。

高台へ続くゆるやかな坂は、不思議と歩くほどに気持ちが軽くなり、振り返れば多摩の街並みが箱庭のように広がる。古い擁壁に残る苔の匂い、地面に刻まれた午後の斜光、どれもが旅人をそっと迎え入れる。

近くの商業施設へ向かう道のりでさえ、ここではちょっとした探検になる。段差とカーブが織りなす地形のリズムに足が合わせられ、知らぬ間に心が弾む。日常と非日常の気配が淡く混ざり合う山王下は、散歩するほどに胸の奥で小さな冒険心が目を覚ます場所である。

山王下の場所

山王下・町名の遍歴・由来

多摩市西部に位置し、多摩センター駅付近に位置する閑静な住宅街。 (山王下 - Wikipedia)

山王下の公園